工業塗装とは
Industrial Painting
塗装には、その用途や目的に応じてさまざまな種類があります。建物の外壁を保護するための塗装、内装の美観を保つための塗装、製品や部品の耐久性を向上させるための塗装など、それぞれに適した塗料や技術が使用されます。塗装は日常生活や工業製品において非常に重要な役割を果たしており、適切な塗装を行うことで、物の寿命を延ばし、美しさを保つことができます。
塗装の中でも「工業塗装」と「塗装工事」は、どちらも表面に塗料を塗る作業ですが、対象や目的・作業場所が異なります。
工業塗装と塗装工事の違い
工業塗装
工業塗装は、工場で製品や部品に塗料を塗る作業を指します。自動車の部品や機械、金属製品などが主な対象です。工業塗装は工場内で行われ、塗装した製品や部品を強化し、美観を向上させることを目的としています。例えば、自動車の部品に塗料を塗ることで、錆びにくくし、長持ちさせることができます。工業塗装は特に耐久性や耐熱性が求められる製品に対して行われ、専門の塗料や技術が使われます。
塗装工事
塗装工事は、直接現場に行って建物や構造物の表面に塗料を塗る作業を指します。主に住宅や商業施設、橋梁などが対象です。この作業は現場で行われ、建物の外壁や内装を保護し、美観を向上させるために行います。例えば、住宅の外壁に塗料を塗ることで、雨風から建物を守り、見た目も綺麗にすることができます。また、塗装工事は防水効果を持たせることも多く、建物の寿命を延ばす役割も果たします。
神奈川県工業塗装協同組合の関わる工業塗装とは、製造業における生産方法と同様に工場内で塗装が行われます。建築塗装のように家・ビルなどの建築物、橋梁、鉄塔などの構築物に塗装を行い、それらが立地する現場において塗装する現場塗装とはこの点で異なります。
工業塗装では、塗装をするものは様々ありますが、主に金属やプラスチック製品の部品、具体的には例えば冷蔵庫・洗濯機などの家電製品、携帯電話などをはじめとする通信機器、自動車の各部品、OA機器等、さらに航空機、船舶、重機械器具などの金属部品やプラスチック製品・部品への塗装を行うものです。
工業塗装は単に製品に色を付けるだけではなく、製品表面を腐食・劣化から保護し、製品の色彩や光沢、手触り、模様などデザイン的にも製品の価値を高める役割を果たしています。現在の工業塗装技術は、高度な専門技術として産業・生活のあらゆる分野において欠かせないものとなっています。
工業塗装ポイント
Point
プロのスキルを身につける
神奈川県工業塗装協同組合は、神奈川県職業能力開発協会から国家検定である技能検定(金属塗装・噴霧塗装)の実技検定試験を委託されている団体です。
実技試験の委託は組合の伝統ともいうべき事業で、約60年の歴史があります。検定試験は年1回、毎年夏(7月中旬~8月上旬)に実施されており、受検者は毎年100名位で女性の受検者も増加しています。
伝統の技をあなたも身に付けてみませんか?
社会に役立つ
塗装には非常に多くの機能があり、これを今後いかに取り入れていくかが当業界の大きな課題であると考えています。世の中の全てのものに塗装は関係しているとの視点で工業塗装を考えれば将来有望な業界といえるでしょう。
塗装は、私たちの生活にはなくてはならない技術となっています。塗装という「巧」を受け継ぐ若い力を待っています。
暮らしを支える
身の回りにあるものを手にとって眺めてみてください。そのどれもに塗装が施されているはずです。シャープペンシル、電卓、携帯電話、パソコン、生活に必要なものすべてに塗装やコーティングが行われているのです。
塗装の歴史は、戦後の高度成長の中で工業製品を塗装する金属塗装専業者が多数誕生し、日本の経済を力強く支えてきました。現在では抗菌、脱臭、防水などハイテク塗装の登場により、高い技術を持つ熟練者が必要とされています。
工業塗装の将来
Future
21世紀の産業構造は世界分業が益々加速して、量産品は中国や東南アジア諸国へ移行し、国内では高度技術を要する高付加価値製品が要求されています。したがって、工業塗装においても急速な技術革新の中で各種塗装製品の種類や色彩が多様化し、21世紀に即応すべく塗装技術・技能の高度化ニーズが益々高まってくると思われます。さらに環境保全と産業廃棄物の処理は大きな問題であり、PRTR法の施行、揮発性有機化合物(VOC)に関する大気排出規制等、環境の問題は極めて重要であり、塗料・塗装システムを考え、排出量の削減・リサイクル等の省資源化を図っていかなければならないと思います。
塗装には非常に多くの機能があり、これを今後いかに取り入れていくかが当業界の大きな課題であるとの認識が重要であります。世の中の全てのものに塗装は関係しているとの視点で工業塗装を考えれば、将来有望な業界であります。